理念 森と人、人と人
背景
近年、つくば市ではめまぐるしく開発が進んでいます。雑木林はどんどんなくなり、そこら中が更地になり、次々と商業施設や住宅地ができています。それに伴い、人々は中心市街地に目を向けるようになり、周辺の自然豊かな地域への愛着心がなくなってきているように感じます。
また、つくばエクスプレス線ができ、首都圏へのベッドタウン化も進んでいます。元々、大学、病院、研究機関が多くあり、若い世代の出入りが多い地域で、地域コミュニティができにくい街だといえます。更に、ネット社会が当たり前となった現代では、直接人と人が出会い、繋がりを持ち、関わりを持ち続ける機会は少なくなったのではないでしょうか。
森と人
一昔前――森は生産的な価値を持っていました。切り出した木は木材や薪として、落ち葉は肥料として、木の実は食料として、そこに棲む動物たちは食料として。
今現在――森は空間的な価値を利用する人が多くなりました。キャンプ、ピクニック、ハンモックをかけて休む、本を読む、アスレチック遊具。
今も昔も森と人は関わっています。しかし、今と昔では上記のように価値観が違います。
そして決定的な違いがあります。それは「利用する人が森に手を入れるかどうか」です。
生産的な場として関われば、入るためにまず草刈をし、木材を使うためには枝払いや間伐、植林という「手入れ」が必要になります。今はお金を出して森をレジャーの場として使う代わりに「手入れ」は別の誰かが担っています。しかし、森はキャンプ場のようなわざわざ行く場所以外に、身近にもたくさんあります。身近な森は今や生産的な価値を失い、昔のように手を入れる人がいなくなってしまいました。
我々は身近な森にも価値があると思っています。それは「遊び場」としての価値です。
「遊び場」の定義は体を動かして遊ぶということだけではありません。「今此処(イマココ)」の自分に集中し、楽しい、面白いと思うこと全てが「遊び」の範疇です。
森でできる遊び、あなたならどんなことを想像しますか?
秘密基地づくり、火を焚く、木登り、ロープでアスレチックを作る、大きな木の下で本を読む、ただ風を感じる、鳥の声を聴く、木漏れ日の中でお茶を飲む、木を切って何か作ってみる、草木染、つる植物でリースを作ってみる、どんぐりから木を育ててみる、食べられる木の実や野草を食べてみる……。
そこにはもはや空間的、生産的などの価値の違いはなく、「遊ぶ」ことで人は能動的に森と関わることができるのです。
人と人
我々の活動の始まりは身近な森を使いたいということもちろんですが、人と人が繋がれる場所を作りたいということでした。
我々は人と人が直接出会い、顔を見ながらコミュニケーションがとれる場を大切にしていきたいと考えています。スマホやパソコン、あるいは商業施設と比べると、森には便利で快適なものはないかもしれない。でも、そんな場所だからこそ、互いの生きた情報や知恵を出し合って、不便を楽しみ、創造する面白さがある。森という開放的な空間で話をするきっかけがあれば、子育ての悩みや生活で困っていることを相談しやすいかもしれない。面白い遊びを一緒に創る仲間と出会えるかもしれない。大人、子どもや様々な違いの垣根もなく、遊びを通してあなたとわたしが出会い、繋がる。
あなたがあなたらしく、わたしがわたしらしく居られる場所として、身近な森をコミュニティ空間として機能させたいというのが我々の願いです。
あなたとわたし
大きな栗の木の下で
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